自粛と除染の効果を検証する

 図2は未発症の感染者(潜伏期間の者)の推移を表します。赤線は、何の対策も行わなかった場合。青線は、自粛を80日目~100日目までの20日間行った場合。緑線は、手洗いや手が触れやすい場所(ドアノブ、手すり、エレベータのボタンなど)の消毒により、ウイルスが50%除去されたとしました。未発症感染者の数は、PCR検査で検出される前の段階ですので、実数は不明です。新型コロナの潜伏期間は、3日~14日程度で中央値が5日程度とされていますので、発症が確認された数の5倍程度は存在するかもしれません。抗体検査が行われれば、この数を推定できるようになりますが、ここでは陽性者として顕在化する前の人がいるという意味で用いています。

 

潜伏期間中の未発症感染者数
図2 潜伏期間中の未発症感染者数

 

 図2の青線は、自粛開始80日目から急激に小さくなります。自粛を解除した100日目移行も減少は継続しますが、180日目ごろから再び増加に転じて山を形成します。山の高さは赤線の山と比較すると半分程度で、ピークも100日目ごろから230日目ぐらいまで先送りされています。再度の増加は避けられませんが、山のピークが低くなったことに加え、山の裾野が広がったことで医療機関への負担が軽減されると期待されます。また次のピークを迎えるまでの時間を稼げるので医療体制の拡充などの準備期間としての効果も期待できます。

 緑線は、手洗いなどの除染を継続した場合です。山の高さも低くなり、裾野の幅を広がっています。青線と比較すると、二つ目の山はありません。青線の自粛は、経済的ダメージが大きいため継続的に実施することは困難です。手洗いや汚染箇所の消毒は、経済的負担も小さく持続可能な対策であることが分かります。

 

自粛のタイミングを考える
図3 自粛のタイミングを考える

 

 図3は潜伏期間を過ぎて発症した者の推移を表します。赤線は、何の対策も行わなかった場合。青線は、自粛を80日目~100日目までの20日間行った場合。緑線は、手洗いや手が触れやすい場所(ドアノブ、手すり、エレベータのボタンなど)の消毒により、ウイルスが50%除去されたとしました。灰色は、自粛開始日を早めて40日目~60日目までの20日間行った場合です。

青線は、図1と同じような変化をしますが、早すぎた自粛ではピークが先送りされます。

山の高さにはほとんど違いがありません。自粛に伴う経済損失の規模は自粛期間が同じであれば、どちらも違いはありませんので、自粛開始のタイミングは難しいところです。

 

東京都感染者推移
図4 東京都感染者推移

 

 図4は、東京都における感染者の推移です。3月25日以降、一時的に増殖率が大きくなっています。この原因として、3月19日の自粛要請解除と20日~22日の3連休が災いしているとの説もあります。

このグラフで見る限り、緊急事態宣言も

3月末でも良かったかもしれません。

少なくとも、賛否両論のあった最初の自粛要請と異なり、緊急事態宣言後の緊張感には大きな開きがあるように感じます。