因果ループ図

 各要素と要素の間の関係性を線で結びます。結ばれた線は、因果関係を表します。因果関係には方向性があります。→を用いて、原因となる要素から、結果となる方向に向かって→を引きます。例えば、要素Aが原因で、要素Bが結果ならば、A→Bのように表記します。因果関係には、「Aが増えればBも増加する」という関係と、「Aが増えれば、Bは減少する」という関係に峻別できます。この関係を、A→(+)BやA→(-)Bの様に表記します。

 

 具体例として、水槽の水量を取り上げてみます。要素としては、水槽の水量(ストック)と毎分の流入量(フロー)、毎分の排出量(フロー)、指針からなります。水量指針は、水槽の水量を一定範囲に収めようとするもので、毎分の流入量と排出量を調整します。ストックは時間を停止しても姿が見えていますが、フローは時間を停止すると姿が見えなくなります。この関係を模式図で表すと図1の様になります。同じことを因果ループ図で表記すると図2のようになります。両者は、まったく同じことを表現していますので、以下は図2のように表記することにします。

 

図1 模式図
図1 模式図
図2 因果ループ図
図2 因果ループ図

 

◆因果ループ図の描き方

 

 因果ループとは、A→B→C→Aの様に、原因と結果の循環を表します。因果ループには、循環が繰り返す度に増大する拡張ループ図3と一定値に収束してゆくバランスループ図4があります。

 

図3 拡張ループ
図3 拡張ループ
図4 バランスループ
図4 バランスループ

 

◆システムの振る舞いを知る

 

 因果ループ図は、問題構造を可視化し、関係者で政策を合意するには優れたツールです。因果ループ図だけで問題解決することも多いのですが、政策立案者にとっては、システムがどの様に振る舞うかが分からないと具体的な施策を打ち出せません。システムの挙動は、図5に示すように拡張してゆくもの、ある大きさに収斂してゆくもの、振動するもの、S字型に変化するものがあります。実際のシステムの振る舞いは、これらの挙動が時間的に組み合わさった複雑なものとなります。

 

 

図5 代表的なシステムの挙動パターン
図5 代表的なシステムの挙動パターン

 

 問題を引き起こしている本当の原因は、空間的にも時間的にも離れているところにあるかもしれません。どこを押すとシステムは、どの様に反応するのか? 時間遅れが伴うと、システムはどの様に挙動するのか? こうしたシステムの動的特性は、因果ループ図だけでは判別できません。時間の遅れのあるシステムでは、振動現象が伴います。その振幅が大きくなり過ぎると組織が破壊してしまいます。静的な因果ループ図だけでは、システムの振る舞いを見落としてしまうかもしれません。

こうした場合に使用するのがシステムダイナミクスです。